この本はほんとうに読んでよかった。これこそ私が知りたいことが書いてあった。読んだおかげで、オーガニック・ムーブメントの全体像がやっとわかりました。地元ベイエリアの話が結構載っているので、たしか出版された時には書店に並んでいて話題だったのを覚えているけれど、もっと細かく章をわけて目次をしっかりしたものにしていたら、読者が増えたのではって思いました。余計なお世話ですけど。だって本のサブタイトルだって、”Natural Foods and How They Grow”なんて書いてあって、オーガニック野菜の栽培方法が書いてあるのかって思ってたもの。
著者はフォーチューン誌やビジネスウィーク誌に記事を書くビジネス・ジャーナリストのSamuel Fromartz。オーガニック農法が19世紀ごろから確立され、第二次世界大戦後に産業社会に反発するヒッピーやナチュラリスト(?)たちによって実践され、90年代から急激に需要が高まり現在の爆発的な広がりをみせる経緯が、まるで映画をみているようにビビットに伝わってくる。ビジネス畑の人らしく細かい数字があって、例えば家電製品を一切使わない昔ながらの生活をしならがらオーガニック農業に携わっている小規模農家の人々はたとえ10万ドル稼いでも実質利益は2万ドルというかなり質素な生活。かと思えば、消費者のニーズを上手にすくってビリオネイアになったビジネスマンもいる。自然主義者たちはオーガニックで儲かった人たちを嫌い、Big Oと言われる、大規模なオーガニック農法を否定する。でも大規模に作られたおかげで、オーガニックはニッチから一般的なものになり、多くの人が買えるようになったんですよね。細かいことはまたぼちぼち載せていきます。
一番読んでよかったと思うのは、最後の章。オーガニック・ブームは多様さの上に成り立っている。つまり上記の極端にタイプの違う生産者がいて、シェフがいて、加工業者がいて、店舗経営者がいて、いろんな人がオーガニックに携わっている。このおかげでUSDAの規格をつくるのがえらい大変だったそうなんですが、そのmonocultureでないところがよい、と。消費者である私たちもミックスで、安いものがほしければ量販店に行って買ったり、本当に安全なものがほしければファーマーズマーケットで農家とコミュニケーションしながら、ときには予算がなくてコンベンショナルなものを買う。これでいいんだっていう話を読んですごく気持ちが楽になりました。
たぶん、今まで読んでいたのは純粋なオーガニック支持者たちの本だと思うんです。だから読んでいるうちに毎週ファーマーズマーケットで買わないと安全なものが買えないんだってだんだん思うようになってました。スーパーで買うときも、オーガニックでも地元のものだとかいちいち表示を読んでいたら買い物だけでどっと疲れちゃって。もちろん表示をみるのは大切ですが、ゆるゆる~でいいんですよね。
こんなふうに、ブームの渦から一歩引いて全体をみるような気持ちになれたのはよかったです。


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