ぼんずが生まれてからずっともやもやと考えていたことがいくぶんすっきりわかった一冊。この本を手に取ったのはなにかのめぐり合わせなのかなあ。いいときにいい本を読めたと思います。長くなってすみませんがいろいろ書きます。
一番印象深かった点は、人間は死ぬまで発達し続けるということでした。言語を用いた推論的な能力は、大人期にも伸び続ける。創造性や柔軟な思考力も高齢期になって発揮されるのだそうです。子どもを育てることは、こうした自分の発達を止めてしまうことになるため、育児不安や葛藤が生じるんだそうです。育児によって成長できる点もありますが、大人としての発達とは明らかに違う能力の発達になると。
「育児によっておとなが成長する中身には、自分を抑制すること、安易に妥協せずに自分を主張することという、一見矛盾する二つの面が含まれています。子どもを発達の主体として認め、受容しようとすれば、親は自分を抑えなければなりません。けれども、それは親が自分を無にして、こどもの言いなりになることではありません。親自身が、単に親としての役割にとどまらず、一個の主体として生きていることが重要です。」
「子どもをしっかりみて、応答的な態度で接するには、親自身が不安を抱え込まず心理的に安定していることが前提となります。すなわち、親自身が生きているという実感や、自分の将来に対しての希望をもてなければ、子どもにゆったりとした気持ちで向き合い、子どもをありのまま受け入れることは困難です。」
私に愛情が足りないからだとか、気が短いからとかとか悩んでたんですが、ここの部分を読んで私そのまんまだと思いました。日本を離れて、教育システムだとかなんだとかすべてがアウェーな中での子育てに不安が募って仕方がない。自分の将来はどうなるのか?とかいろいろ。
自分の時間がほしいって思ってたのは、わがままじゃなくて、そういう理由からくるんだ、と目からうろこが落ちた思いでした。
昔の女性は何人も子を生み、心身ぼろぼろになってそれほど長生きせずに死んだ。嫁ぐまでは親に、嫁いでからは夫に、老いては子に養ってもらう一生だったため、葛藤がなかった。それが戦後女性が社会に出るようになりその価値観が変わった。子どもは二人までという考えがひろまり、医療も向上して、子どもが確実に育つようになったのと同時に、負担が減って母親が長生きできるようになり、子どもは授かるものからつくるものになった。育児に父親がが参加せず、母親が育児を理由に仕事をやめなければならない現状では、母親の育児不安がますます広がり、はけ口としての早期教育や子どもの自立を妨げるような育児が広まっている。父親が育児することによって母親の社会進出が実行でき、母親の精神衛生は保たれる。子どもも家庭と保育所二つの健全な環境でよりよい発達ができる。
さっくりと書くとそんな内容だったように思います。読みやすくて面白かったです。それにしても、日本での母親の負担って深刻ですよね。政府の少子化対策もおっさんたちがやってるのでとんちんかんなのはわかります。三歳神話、いうならあんたが実行!と。
一緒にいればいいってもんでもないということを私は痛いほど実感しています。母親がしっかり子どもと向き合うためには、おとなの発達をするための時間が必要なんでしょう。これからはちょくちょくそういう時間を胸張ってとるようにします。
ところで、いくつか疑問に思ったことがあります。
ここアメリカはそういう意味では少し状態が進んでいる(優れているということではないです)と思います。家事をやらない男性ももちろんいますが、育児や家事に積極的に参加している父親は確かに多いです。午前中の図書館のお話会に赤ちゃんを連れてくるお父さんは珍しくないし、仕事を持つ母親と変わりばんこに子どもの送り迎えはもちろんやってる。すばらしいなあって思います。
でもやっぱり育児と家事の負担は母親にかかっているし、男性との給料の差額だって依然としてあります。それはもう生んでしまった人のどうしようもなさなのかと。男性と対等に仕事するために産後数週間で仕事復帰する人も珍しくないようで、やはり体への負担がおおきい。子どもも生まれて数ヶ月でデイケアに預けられることへの身体的・心理的負担が大きいような気がします。デイケアやベビーシッターにかかる費用も高額です。
それになにより、家事に一番しわ寄せが行ってます。アメリカ人が1日の食事作りに費やす時間は平均して30分です。三食ですよ。つまりレトルトや缶詰を使ったり、外食が多いわけです。この国で肥満が問題になっているのは、いろんな原因があると思いますが食生活の乏しさにあると私は思っています。母親が働いて、子どもをいい保育所に預け、なおかつ生活を豊かに過ごすには、それなりの収入がなければ無理だし、育児や生活はお金をはらって人に任せるしかないのでは。共働きが実現すれば解決できるかというとそうでもない気がします。
だからドクター・ローラのような人に人気が出てくるのでしょうね。家にいて子育てをするという考え方がまた戻ってきている。だけどサイトをチラッと見たら、家にいて稼ぐ方法なんてあったのでそのあたりの考えを知りたいところです。家にいて儲かったらすごいな(ってこれでマルチにはまったりしてよ)これから読むのがたのしみです。
長くなるけどもう二つ。読んでどきっとしたのですが、公園で母親がこどもをぐるっと囲むようにして遊ばせているのを見かけるがよくない、とのことです。こどものやりとりにすぐ親が手をだすのではなく、見守ることで子どもの社会性を育てると。先日も同じようなことを聞きました。
それから、早期教育について。早期教育をやるつもりはさらっさらなかったんですが、習い事でぼんずが嫌がっていらいらというのはやっぱり間違いだなと思いました。子どもがやりたいことを待ってやらせる、その子どもの性格を見極めてあったことをさせるのが、成長につながるそうです。そういう意味で、こちらでぼんずに日本語教育をすることにまたものすごおおおおく不安が大きい。ああもう悩んでばっかり。
最近のコメント